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	<title>CONTENTS - 立命館大学 立命PENクラブ</title>
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		<title>ついおくの　おかへ　ようこそ</title>

		<description>ついおくの　おか

ここは、ＰＥＮクラ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ ついおくの　おか

ここは、ＰＥＮクラブ部員の書いた作品のうち、諸々の理由によって発表されることの無かった（主に未完の）作品を掲載する場所です
<span style="color:#FFFFFF;">ここは　すべての　たましいが　つどう　ばしょ</span>
部員たちの思い空しく、未完という形になってしまったわけですね
<span style="color:#FFFFFF;">ひとよ　いのちよ</span>
こうやって纏め、アイデアの欠片を見て頂けるだけで、随分と幸せなことだと思います。
<span style="color:#FFFFFF;">いのれよ　すべてに</span>

以下リンク集

<a href="https://ritspenprot.web.wox.cc/novel/cate3-1.html">響くは終焉　轟くは無</a>
　　　buried by 水前寺だんご ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2016-12-19T16:48:25+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
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		<title>サイフレンサ</title>

		<description>サイフレンサ

　非常にまずい。
　朝8…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ サイフレンサ

　非常にまずい。
　朝8時に京都駅で集合するためには6時に起きる必要があり、夏休み中の堕落しきった生活に慣れてしまった俺にとっては苦行だった。しかし今回はサークルの合宿だ、1回生という身分もあり遅刻するわけにはいかない。目覚まし時計を重ね掛けしてなんとか7時45分に京都駅にたどり着くことができた。そこまではよかったんだ、そこまでは。
　端的に言って、財布を忘れたのだ。やはり焦って家を出たのがまずかった。これではお土産はおろか飯を買うことすらできない。
　どうしよう、誰かに相談して借りようか、それとも一か八か無一文で過ごしてみようか、懊悩していると、ふと、目の前に悪魔がいることに気がついた。放置された財布という悪魔が。旅行カバンからはみ出たその悪魔は間違いなく同サークルの人間の物だが、トイレにでも行っているのか、とんと所有者の姿が見当たらない。京都駅の雑踏に紛れて今なら簡単にくすねることができるだろうし、所有者も無くしたとは思えど、まさか盗られたとまでは思うまい。
　　さて、どうするか....

@@@@@@@@@@@@@

　なんで私がこんな目に。
　京都駅に着くまでは間違いなく旅行カバンに入れてあったはずです。でもどこかで落としてしまったのでしょうか、そこにあるはずの財布が見当たらないのです。落とすとしたら京都駅前だろう、とあたりをつけるのは容易ですが、ここは既に岡山県の後楽園。時既に遅し、とはまさにこのことなのですね。楽しみにしていた後楽園の入場料すら払うことが出来ません。300円ほど誰かに借りるという手もありますが、それで乗り切れるのはこの場のみ。まだまだ始まったばかりの合宿をこの先無一文で過ごすのは無理があるだろうし、そのつど誰かに借りるというのやはり気が引けてしまいます。
　どうしようか苦悩していると、券売所前に悪魔が落ちていることに気がつきました。誰かが落としたのであろう、黒い財布です。幸か不幸か、私の動きを見ている人はいないようです。あの悪魔があれば、私はさぞかし楽しい合宿をすごせることでしょう。
　　さて、どうしましょうか...


@@@@@@@@@@@@@

　なんてこった。
　サークルの合宿で訪れた岡山後楽園、そこに隣接する岡山城で入場料を払おうとしたときに悲劇に見舞われた。お気に入りだった黒い財布が行方不明になっていたのだ。後楽園に入場する際には確かにそこにあったはず、なにせ後楽園の入場料は払えたのだから。ということは後楽園の中で落としたと考えるのが1番自然だが、後楽園はいわば和式迷路だ。ここの中から財布を探し出すのは相当骨が折れるだろう。ひとまず事情を話して城の入場料は先輩に立て替えてもらうことができたが、根本的な解決にはなっていない。これからの旅程を無一文で過ごすことに不安を抱きながら、岡山城天守閣に登ると、先に登頂していた友達が声をかけてきた。
　「トイレに行ってくるから、その間カバンを預かっておいてくれ」
　正直他人に気を遣ってる場合ではないが、面目を保つためにも素直に預かってやることにした。そこに、預かったカバンの中に悪魔がいたのだ。この悪魔を拝借するとさすがにばれてしまうだろうか。いや、濡れ衣だ、きっとどこかで落としたんだろうと主張すればきっと乗り越えられる。しかし今後の友情に大きな溝ができてしまうことは確実だろう。
　　さて、悩みどころだ....


@@@@@@@@@@@@@

「ありがとうございました」
「あざーす」
「ありがとーございましたー」
　サークルの面々が今日1日の行程を終え、旅館まで運んでくれた運転手さんにお礼を告げながら下車してゆく中、僕だけが無言でバスを降りた。運転手への感謝の気持ちがないわけではないが、今の僕はそんな元気よく挨拶するほどの余裕がないのだ。なにせ、岡山城から出発したあたりから財布が見当たらないのだから。
　正直、心当たりはある。天守閣で1度友達にカバンごと財布を預けたのだが、どうもその後から財布を見ていない気がするのだ。でも「お前が盗ったのか」なんて問い詰めてしまうと、もし奴が無実だった場合、友情に修正しがたい傷がついてしまうだろう。それにただ単に落としただけということも十分に考えられる。
　それに、岡山城内に散りばめられていた資料から得た知見がある。それは、たくさんの小さな原因が集まり、たくさんの思惑が集まって関ヶ原の合戦という大きな戦いとなり、その結果岡山城主の宇喜多秀家が戦死するにいたったように、一見小さなことでもそれが繋がって、いろんなひとに影響を及ぼし、繋がっていくということだ。
　今、僕が財布を失っていることも、なにかしら僕のあずかり知らぬ原因から繋がってきた連鎖の帰結なのかもしれないし、だとすれば僕が財布を失ったことで幸せになった人がいるのかもしれない。そう考えれば財布を失ったことへの怒りも少しはマシにもなる。今回は運が悪かったと割り切って、友達に少しお金を貸してもらうことにしよう。あいつはいいやつだ、きっと快く貸してくれるだろう。

@@@@@@@@@@@@@

　あるニュースが世間を騒がせた。とあるバス会社の運転手が、乗っていた大学生約20名をバスごと崖から落とし、死亡させたのだ。自分だけは脱出し無事だった運転手、つまり容疑者は取材に対し次のように述べた。

「なぜ、こんなことをしたのですか」
「俺に礼を言わなかったやつがいたからだ」


了
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2016-09-19T14:41:38+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
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		<title>「恐怖の三分」</title>

		<description>「恐怖の三分」
猫沢　ナナ

私は、耐…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「恐怖の三分」
猫沢　ナナ

私は、耐えられずに目を閉じた。
じわり。じわり。
動いているかわかりにくい。そんな微妙な速度で動き出す。
気持ち悪い。吐きそうだ。
目を閉じても開いても、変わらないらしい。しかし、このままではもたない。仕方ないので、この苦悩と苛立ちが混ざったムカムカを、深呼吸で押しとどめる。
じわり。じわり。
眼下に広がる網ネットから鳥居、神社へお参りする人々。彼らは、私の存在に気づいただろうか。
ぐら。ぐら。
ここでようやく、速度が上がる。
山の斜面を覆う、葉が生い茂った木々が――緑が――目の前に迫り、下へ消えていく。
落ち着いた女性の声が、左を見るように、私の視線を促した。
あぁ。海が、港が、向島が見える。
前に目を戻せば、迫りくる木々。私はなるべく上へ目を泳がせた。
先ほどまで雨が降っていた曇り空へ逃げようとしても、眼下の端に消えゆく木々を見逃せはしない。
あぁ、何ということだろう！　人間は、自分の望む情報しか取り入れることができないはずなのに、何故人間の視界は余計なほど広い！
木々は下へ消えていく。
ぐら。ぐら。
速度も上がっていく。それは、紛れもない事実を示していた。
私は、加速しながら上空へ昇っている。
どんどん高く。本来、鳥にしか許されぬ近道を。
ぐら。ぐら。
足元は揺れる。私の恐怖もお構いなしに。
やめてくれ。やめてくれ。
私は愚か者だ。気づけば、後戻りできないところまで行っていた。引き返すチャンスなら、当に与えられていたはずなのに。何故、それをフイにしてしまったのだろう。何故、己をそこまで過信したのか。
ぐら。ぐら。
誰かが息を飲む。その音に、私は我に帰った。
前を見れば、切り立った崖の上に寺が見える。そして、その近くに、とてつもなく巨大な岩が聳え立っていた。
あの寺も足元へ消えていく。そう思った私は、あることに気づいた。
信じられないことに、私は岩へ、「ポンポン岩」と呼ばれる巨大な岩へ、自ら突っこんでいく。
足元からくる浮遊感が揺らぐ気がした。
大きな岩。ぶつかったら――。岩が間近に迫ってくる。
ぐらり。ぐらり。
さらに加速する不吉なビジョン。
消えゆく木々。迫る岩。
重力に負けて落ちるか。当たって砕けるか。
ぐらり。ぐらり。
岩は近づくほど巨大になる。
誰か助けて。
ぐらり。ぐらり。
もう、ぶつかる――。
私は、耐えられずに目を閉じた。

＊　　　　＊　　　　＊　　　　＊　　　　＊　　　　＊　　　　＊　　　　＊

じわり。じわり。
まただ。気持ち悪い。
「……空美、もう着いたんやけど」
友人である陽(ひ)菜(な)瀬(せ)の声に、目を開ける。
「着いた……」
「そう。もううちらで最後だから早く降りるでっ」
呆れた陽菜瀬の顔と、苦笑して外で待つガイドさんの顔が見える。
「よかったー。生きてたよー」
「アホか！　なんで前方の窓際に立っといて、高所恐怖症になんの！　ほぼ目ぇ閉じてたやんか！」
頭に軽くチョップを叩き込まれ、今さらのように私は呻く。
「歩いて行けばよかった……」
「だーかーらー。今日は雨降って階段は危ないから、千光寺山はロープウェイで行くことにしたんやろっ！　全く、たかが三分で」
「三分！？　長すぎて永遠にすら感じた」
「長い長い。あんたがビビリすぎただけや」
そんなことを言い合いながら、私は陽菜瀬とともに乗り場を出てゆく。
恐怖の三分を耐えた私は、そこでようやく解放された。
その後、帰りにまたロープウェイに乗らなければならない事実は忘れて――。

〈END〉
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2016-09-19T14:40:19+09:00</dc:date>
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		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
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		<title>帰宅</title>

		<description>帰宅
　　　　　　　　　　　　　　　　…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 帰宅
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雨崎ちひろ

　友人に話したところ、わざとらしく声を上げて笑った。それから少しだけ考えて、「だったら旅行にでも行かない？」と言った。答えを渋ったのは、そいつがゲイだからじゃなく、有給を取れるかどうか分からなかったからだった。翌日勤めの会社に了承を得てようやく、「気晴らしくらいにはなるか」と返答し、友人――圭一が安かったと広島近辺の旅館を薦めたので、俺たち二人は一泊二日で岡山に旅行することになった。
　きっかけは平凡だ。同棲してる彼女と喧嘩してアパートを追い出された。ほんの些細な理由で、買ってきたシャンプーの種類がどうの、玉子焼きの味付けがこうの、する前のやり方があれだの――よくある話だったけれど、結局俺は帰れなかった。
　彼女は怒っていたし、俺も怒っていた。どっちが悪いかなんて決められないくらいに心底どうでもいいことだったから、尚更子供じみて意地を張る。俺も彼女も二十四なのに。
　笑い話のつもりだったから、実際笑われて、内心ちょっぴりホッとした。圭一とは大学からの付き合いだからそう長くもないのに、気を遣われたのかなとも思ったが、隣の席で愉快に一昨日どんな男と遊んだかを語るのを聞くと、考えるだけ馬鹿らしくなってくる。
「それで、広島ってなにがあるんだ」
「えっと、さあ？　まぁ行けばきっとなにかはあるよ」
「なにかはあるだろうけど……まぁいいか」
　旅行するのに計画一つ立ててやしない。そんな無計画さこそ、俺たち二人の共通点だった。
「そう言えば、家追い出されたんだろ、どこ住んでるんだい？」
　圭一が聞く。
「とりあえずビジネスホテル」
「ホテルって、高いでしょ」
「高いよ。早くなんとかしねぇと、ヤバい」
「それは……ヤバいね」
「あぁ、かなりヤバい」
　実際、帰る家がないというのは深刻な問題だった。仕事を終えても行く当がないというのは、諸々の疲れというよりむしろ、中心にあった軸が消え失せてしまったような、迫り来る不安感と焦燥感、そして言いようのない倦怠感があった。
　どうにかしなければいけない。そして、どうすればいいのかも、よく分かっていた。
　それでも、俺は刻一刻と襲いかかる感情に対してやはり子供っぽい怒りを感じるだけで、現実にどう行動するかまでは、あまり考えないようにしていた。とても分かりやすい逃避だった。窓の外から見える線になった風景をよそに、悪い気分はしていなかった。
　本当にこのまま逃げられないんだろうか、それとも案外タッチダウンを決められるんじゃないか。バスの速度に追いつけず後方へ飛んで行くガードレールの姿に、窓なんて開いていないのになぜか、風を切る感覚を覚えずにはいられなかった。
「ともかく楽しもうよ。せっかくの旅行なんだから」
　その言葉が免罪符にはならないことを噛み締めつつも、圭一の明るい調子に乗せられて、これ以上深く考えないよう、酔わないように、前を向いた。


中略。（バスに揺られ、広島焼きを食べ、宮島行きのフェリーから海を眺め、厳島神社を廻り、圭一が体格の良い外国人観光客に声を掛け、写真を撮り、鹿がいて、海が綺麗で、夕暮れ前に旅館に入って、部屋でゴロゴロして、あるいは浴衣を着て散歩に出たり、その他諸々、エトセトラ＆エトセトラ……）


　ぼやけた視界、空気の色をした水分質の湯気が向こう側を塞いでいた。
　風呂椅子に腰掛けて熱いシャワーを顔いっぱいに浴びる。タオルに据え置きのボディウォッシュを出して泡立てていると、隣に圭一がやって来た。
「いやぁ、今日は楽しかったねぇ」
「そうだな、お前もお疲れさん」
　それからしばらく、お互い無言のまま体を洗う。
　圭一の方に目をやっても、気持ちよさそうに足の指先まで丁寧に拭くだけだった。細く真白い指先がなにかに触れ掴む度に、俺とは違う世界を感じさせる。
　そして、そんな何気ない自分の行為に、嫌気がさした。友人として、一人の男として。タオルを力いっぱいに絞った。やっと、水が一滴も溢れなくなる。
「……俺、先に入ってるよ」
「うん」
　風呂はいくつもあったけれど、なんとなく、これと言った深い感情はなしに、俺は外にある露天風呂に入った。浅めの岩盤で、浸かっても肩が少し出てしまう。晩夏のほんのり肌寒い夕暮れの気温、風が吹き、気持ちよく感じた。
　疲れが解れて消えていく。それは今日一日の疲れだけではなく、これまでの、人生そのものの疲れや苦悩なんかも一緒になって、ぼんやりと霧散していくようで、それがとても心地良いこと自体に、俺は別の気苦労を背負ったような感覚まであった。
　それでも、お湯は温かく、風は爽やかで、周りに並ぶ樹々が靡く、緑色の葉が一枚落ちる、ひらひらと、浮き、揺れる。腕を後ろに回して凭れ掛かり、顔を上げる。すると、空が見えた。絵の具の水色と白色を溢したような淡く、それでいてどこか明瞭な夏の終わりの空。それと、哀愁の色にしたような濃い、とても濃い橙色の夕焼け空。
　空の色はどこまでも高く、そして移ろっていく。東京と繋がる景色の流展は少し切なく、けれど空に感情はなく、結局は眺める俺の心の移ろいそのものだった。
「…………あぁ」
　カラリと扉が開き、タオルを腰に巻いた圭一が入ってくる。
　圭一は初め、とても静かにタオルを下ろし、柔らかに微笑んだ。それからなるべく音を立てないようゆっくりと湯船に浸かる。
　そうして極自然に、俺のすぐ隣まで、近づくのだった。
「…………」
「…………」
「温かいね」
「あぁ、気持ちいいな」
　やはり、それからしばらく会話はなかった。
　しばらく――長くて、短い――三分ばかしの時間だった。
「ねぇ、陽平」
　圭一が呟く。それは聴こえる程度にか細く、しかし鮮明に届く。
「陽平は――彼女さんのことが、嫌い、なの？」
「……それは」
　それは。
　それは、そう。そうだった。
　そんな質問、分かりきった質問だ。
　聞かれる前から、そんな答えは分かっている。
　だから俺は、答えない。
「……どうだろうな」
　曖昧にはぐらかした返答に、圭一は、また、笑った。
　笑う、とても、分かりやすい笑顔。
「嘘だよ。陽平はいつも嘘ばっかりだ。だから、嘘だ。本当は好きなんだろ、僕、知ってるんだ。君が本当に彼女のことを嫌っていたら、僕と旅行なんて行ってやしないってことを。真面目な性格の君だから、そんな不誠実なこと出来ないだろうから。それと、今みたいに嘘をつくのも、君なんだ」
　そのとき、オレンジ雲に隠れた夕陽がちょうど溢れ射した。逆光によってより鮮明に映し出される影になった建物群が色を増して行き、そして、一気に、広がっていく。
「僕は、君のことを好きだよ。それはもちろん、友人として」
「……俺は、別に――」
「さあ、元気を出して！」
　手が触れる。圭一の細い指先が肩に触れ、背中を押される。
　ただ、ただ――それは、極めて滑らかで、他意はなく、優しさに満ちているのは分かっていた。湯船に浸かり温まった体温を感じ、それでも、俺は。
　――自分のことが嫌いになった。
　露天風呂の向こう側から覗ける宮島の瀬戸内海、水面に揺らめく夕焼けはやけに振らついて、波のさざめきと同じリズムで燦めいて見えた。


　夜、海の幸の豪勢な夕食を味わって、部屋に戻ると、布団が敷かれていた。
「……まだ、早いよな」
「飲もうよ。ほら、奥の間から瀬戸内海が見えるよ」
　広縁の窓を覗くと、真っ暗な波と、対岸から見える人工的な光が散らばっていた。
　俺たちはテーブルに売店で買ってきた果物酒とコップを置いて、椅子に深く腰掛ける。
　圭一はグラスに少量だけ注いで氷を入れ、カラン、とガラスを鳴らす。
「乾杯しよう」
「なにに？」
「これまでと、これからに」
「これから……」
「そう、明日と。明後日」
　そして、明々後日と、一週間後と、一ヶ月後と、一年後と、ずっと続く先の明日へ。
「――乾杯」
　嫌な感情ばかり思い出す。苦い思い出ばかり積もってゆく。
　諸々が混ざり合って、ぐちゃぐちゃになる、彼と、彼女の。
　なのに、なのにこいつは――
　からん、と。
　あぁ。
　からん、からん。
寂しさが鳴る。
聞き慣れない虫の鳴き声に隠れて、寂しさはどこかへ消えていく。
　その音が、その音だけが、俺たちの関係を、この場所まで繋ぎとめていた。
　鈴の音よりも澄み渡った、透明が割れる音に、俺たちは言葉もなく、ただ沈黙していた。
「――なぁ、圭一」
「……うん」
「ごめん。俺さ、お前のこと、ほんの一瞬だけ、でも、疑った」
「……そっか」
「そんで、最低ついでに、聞いてくれ」
　圭一は黙って頷き、酒を呑む。
　それが罪悪感からなのか、もっと単純な逃避からなのか、それとも全く別のところからのものなのか。それでも、俺は間違いなく、彼の優しさに寄り添いたがった。
「お前の家にさ、泊めてくれないか？　あんまり長くならないうちに、きっと、新しい家を見つけるから。だからそれまで、頼めないか？」
　俺は言った。
　その寂しさと、沈黙に身を委ねて。
　一人の孤独と二人の距離、もう一つの沈黙と、そして波の音。
　圭一の瞳をしっかりと覗く。
　そこには、輪郭の鮮明な、割れない水晶があった。
「駄目だ」
　圭一が言う。
「君は帰るんだ。帰らなきゃいけない」
　圭一が言う。
「連絡をして、仲直りして、君の家に。君を待つ人がいる家に」
　圭一は、言う。
「僕は、君の事が好きだから、だから――帰るんだ」
　――あぁ。
　分かっていた。
　全部分かってたんだ。
　お前が笑った理由、旅行なんて言い出した理由、温かな体温の理由。
　お前は、優しいから。
　返事の代わりに、音を鳴らした。
　からん、と。


　さっき、彼女にラインを送った。
　既読になったから、もうじき返事が返ってくるだろう。
　返事の内容は――きっと、きっと。
　隣の布団にはあいつが肌蹴て寝ている。
　あぁ、そうさ。
　俺は深く考えないようにして、布団に潜り込む。
　旅に出たら、いつかは帰らなきゃいけない。
　あいつはきっと、俺を家に帰すために誘ったのさ。
　それはとても普通のことだ。それは逃げなんかじゃない。
　前を見るのに、ちょっとくらい窓の外の風景に黄昏れるくらい、いいじゃないか。
　でも、とりあえずは。一呼吸吐いての深呼吸。
　帰る前に、明日の旅行くらいは、精々楽しむことにしよう。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2016-09-19T14:39:15+09:00</dc:date>
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		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
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	<item rdf:about="https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry13.html">
		<link>https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry13.html</link>
		
				
		<title>再出発の汽笛</title>

		<description>再出発の汽笛

ボー！！
今日も瀬戸内…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 再出発の汽笛

ボー！！
今日も瀬戸内海を往来する船たちの汽笛が尾道水道にこだまする。
いつもなら俺はスーツに着替え、トースト一枚を頬張り、朝の支度を慌ただしく済まして専光寺通りを一気にかけ降りていた。
俺の住まいは専光寺通り沿いのT字路に建つ昭和の雰囲気が漂うオシャレな洋館の一室だ。
俺は関西の大学を出た後、尾道市の観光課に務めている。毎日、会議、視察、そしてデスクワークの連続だった。しかし地域に携わるという点で瀬野は充実感を感じているのが実際の感想だろう。
   今日は盆休みのうちの1日だ。俺はこの日ずっとテレビを見たり家事をこなしたり海をぼんやりながめていた。
昼頃だろうか、スマホのバイブが机の上で振動音を響かせる。 液晶には大学時代の親友、八本木亮の名前が打ちし出されていた。
「おい！　瀬野！　今駅前にいるんだけど、迎えに来てくんない？」
「おい！　どこの駅前だよ！」
「尾道に決まってんじゃん。」
その瞬間、せすじが凍るような感覚を覚えた。何故あいつは俺の就職先を知っていたのか……。誰にも言っていなかったはずなのに……。
  俺は夏の坂道を冷や汗をかきながら一気に下った。シャツがジトッと湿っていくのがわかる。俺は自転車で駅へ昼下がりの海辺を駆け抜けた。


  「よお！瀬野。卒業以来か。」
八本木は駅の改札口に爽やかな出で立ちで立っていた。
「なんでお前が俺の就職先知ってるんだ？」
「まぁ、そこは色々と、な。まぁとにかくせっかくの再会を祝して一杯やろうぜ！」
そういって八本木は一升瓶を取り出して見せた。
俺はため息をついて家に案内した。


 「散らかってるけど許せよ。」
そう言って俺は八本木を部屋に入れた。
「相変わらず散らかってんなー。」
「文句あるならここで酒飲むな！」
と、一緒に卒業した同期の進路、教授の思い出話、八本木の調子に乗りすぎた話や俺と八本木で増水した鴨川デルタに飛び込んだ話で盛り上がった。
旧式のクーラーがささやかな冷気を酒で火照った頬に当てる。
ほろ酔い加減になった頃には瀬戸内海はオレンジ色にキラキラ輝いていた。
「そういや、坂の上眺めよさそうだな」
いきなり八本木が真面目な顔して言った。
「おいおい。景色は市役所の観光課として保証するぜ。今の時間なら夕日が海に照らされて綺麗だと思うぜ！」
酒が入っているためか少々調子に乗った感じで俺は言った。
「そうか。じゃあ登りたいな。」
「おいおい。何そんな真面目な顔してんだよ。お前らしく……そういうことか。わかった。」
俺はその八本木の顔を見て一目で何が話されるか分かった。
俺が誰にも言わずにこの地に逃げてきた理由についに向き合う時が来たのだと。
「もう、逃げきれないか……。」


坂を登る途中は俺も八本木も何も喋らなかった。八本木の醸し出す雰囲気に酔いもすっかり醒めてしまった。
坂に林立する寺たちを陽光が海面に反射してオレンジ色に染めている。
坂を登って30分くらいたっただろうか、いやもっとかかったかもしれない。
ロープウェイの最終便がちょうど出たところだった。
展望台の横には恋人の聖地と書かれた看板と南京錠が大量にかかっていた。
「たぶん、お前もわかっているとは思うが……」
八本木が俺にしんみりとした顔して言う。
「あぁ。恵美のことだろ。」
「いつ、どうなっても俺は知ったこっちゃないが…お前に後悔だけはして欲しくない。はっきり言うと、もう長くないらしい。」
俺の視界がだんだんオレンジ色にぼやけてくる。同時に走馬灯のように糸崎恵美との記憶が流れ出した。
  糸崎恵美とはサークルで知り合った。
最初のうちは友達だったがだんだん互いに意識しあい、付き合った。互いの下宿先にもよく泊まり、それなりの関係を築けたはずだった。でも本当は違った。
付き合う中でだんだん俺が悩むようになり関係が重くなった。そこに耐えかねたんだろう。いつの間にか、俺の部屋から彼女のものは消えていた。無言の宣告だった。それからしばらくしてからだった。恵美が入院したと聞いたのは。しばらくは見舞いに行ったがその度に面会を拒絶されてしまった。
だから俺は過去捨てて新しく全て再出発することにした。
この地で。

「会いに行け。」
八本木のその声でハッとした。
「お前、後悔するぞ！いつまでそうやっていじけているつもりだ！また後悔するぞ！あの時気づいていれば！はもう通用しない域なんだよ！」
そう言われると俺は黙ってうなだれた。
何も言えなかった。ただ聞こえるのは八本木のため息と汽笛の声だけだった。
「行かない。もうケジメをつけたんだ。さっさとホテルに戻れ。」
「行くと言うまで戻らない。あと、お前は逃げてるだけだ。再出発本当にしたいなら向きあえよ！自分の全てと！」
俺はやっぱり会う気になれなかった。恵美の最期に立ち会えないのは確かに後悔すると思う。でも同時に自分が拒絶されてしまうことへの恐怖の方が大きかった。
「もう一回言っておくが逃げることと再出発することは違うからな。」
そう言って八本木は俺に背を向けて坂を下りだした。
「待て。そこまで言われて行かないヤツじゃないって知っててやってるだろ。」
俺は八本木を睨みつけて言った。
「さぁな。でもここに京都までのチケットはあるぜ。」
そう言って八本木は夕日に向かって歩き出した。
「そうだな。もう逃げきれないか…」
瀬戸内海を行くフェリーの汽笛が心地よく聞こえる。

今日も瀬戸内海を往来する船たちの汽笛が尾道水道にこだましている。
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		<title>深夜に出会ったもの</title>

		<description>深夜に出会ったもの
林　龍比呂

白雲…</description>
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			<![CDATA[ 深夜に出会ったもの
林　龍比呂

白雲閣の一階、自動販売機前で一人の少女に出会った。
浴衣を着た、17ほどの少女は、不思議なことに自動販売機ではなく、こちらを向いている。
まるで、ぼくを待っていたみたいだ、というのはさすがに自意識過剰か。
「ど、どうも」
「どうも」
僕の女慣れしていない不細工な挨拶と比べて、彼女の挨拶は明瞭だった。
しかしこれで僕は人としての大切な義務、挨拶を達成したのだ。これ以上彼女と関わる必要はない。
僕は小さく会釈をした後、彼女の横を通り過ぎ、自販機に百円玉を入れた。
いくつかの商品の下のボタンが青白く発光する。
「ねえ」
と、彼女が声をかけた。
「は、はい。なんでしょう」
僕は慌てて返事をした。
何か失礼があっただろうか。あるいは、道を聞かれるのか？
「あなた、尾道行きたい？」
「はい？」
え？　なにこの女？　なんで僕らが明日、尾道に行くことを知ってるんだ？
僕は訝しげに彼女を見た。
何者だ、この女。
ふふふ、と女は笑った。
「平和公園行きたい？宮島行きたい？神社に、お寺に、博物館に、美術館に、お土産屋に行きたい？」
ぞぞぞ、と背中に冷たいものが流れた。
「君は、何者なんだ……？」
女は、妖しく笑った。
「私は災害。私は人類の敵」
一拍置いて、女は続ける。
「私は台風」
台風13号、と女は名乗った。

※
台風13号。その名は僕も知っていた。
知りすぎていたくらいだ。
僕が2日前に旅行会社の松山さんと何度も電話をすることになったのも。
ウサギの島から岡山のこの白雲閣に急遽ホテルを変更したのも。
全ては、台風13号が原因だった。
目の前の彼女は、どう見ても人にしか見えない、しかしどことなく人外の妖艶さを漂わせている。
ねえ、と13号は口を開いた。
「私が、私たちが日本にどうして上陸するか知ってる？」
台風13号を名乗る女はそう言った。
僕は答えることができない。
突然の非日常に、頭がついていかない。
女は笑みを浮かべたまま、顔を近づけた。
「それはね、貴方たちが望んでいるから」
13号は唄うように、そう言った。
それは違う、と僕は否定しようとした。
災害は、危ないものだ。
それを望んでいるものなんていない。
けど、僕が反論する前に彼女は言った。
「台風が近づいてくるとさ、わくわくしなかった? 　子供のころとか、どんなことになるんだろうって」
そんなことはない、とは言えなかった。
13号の話は続く。
「学校が休校になるかもって思わなかった？　非日常に憧れなかった？　テレビの向こうの惨劇を見て、映画を見ているような気にならなかった？」
……強く否定できない。でも、だからと言って肯定するわけにはいかない。
僕は強く否定した。しようとした。
けれど、やっぱり僕が何かを言う前に13号は言葉を重ねた。
「たとえあなたがそうではないとしても、そういう人はいるわ。たくさんいる」
ひどい話よねぇ、と13号は嗤った。
「毎年台風で何人も死んでるのに。たくさんの方が悲しんでるのに。でもそれ以上に台風が来ることを楽しみにしている人間もいるのよ」
13号の目が細くなり、口から吐息を漏らす。
「貴方はどうなの？　私のことをどう思ってる？」
そんなの、決まっている。今の僕は台風のせいで予定が大幅に狂い、対応に追われたのだ。そのせいで、様々なことに不備が生じている。
「お前のせいで」
と、僕は口を開いた。
「お前のせいで僕はどんだけ苦労したと思ってるんだ。お前なんか大嫌いだ」
13号の表情は変わらない。
「何言ってるの。貴方は台風にずいぶんと助けられているじゃない。ねえ、貴方。私のせいで大変だと言ったわね。じゃあもし、私が来なかったら、貴方な何の失敗もしなかったの？」
う、と僕は呻いた。
「私が来たおかげで、貴方は多少の失敗を甘く見られてる所があるのは否定できないでしょうに」
悔しいが、それは確かに事実だった。恥ずかしい話、僕の旅行プランには色々な不備があった。その失敗の原因を僕の準備不足ではなく、台風のせいにすり替えたことは今日1日何度かあった。
※
はー、と僕はため息をついた。
どうも相性が悪い。
女性と喋ることに慣れていないこともあるが、13号の性格はうちの部にはいないタイプだ。
経験値が足りない。
僕は目の前の小さな災害にどう対応するべきなのだろうか。
……やはり、ここは日本人らしさを意識しよう。
倒すのではなく、お願いする。
「あの、すいません。さっきまでの失礼な態度は謝ります。13号さんは明日宮島に上陸しないで欲しいです」
「へえ？　それはつまり、あれよね。自分が台風にあうのが嫌だから、他の、何の罪もない人々に代わりに犠牲になって欲しい。そういうことだよね」
嫌な言い方だ。本当にムカつく。だが僕は素直に、はいと言った。
「実は僕、宮島ですることがあるんです」
「そのためには私が邪魔だと？」
「はい」
「へえ。何をするの？」
すぅと、僕は息を吸う。
「愛の告白です」

※
「それでどうなったんだ？」
宮島で牡蠣カレーパンを食べながら、大吾はそう聞いてきた。
「どうって？」
と、僕も聞き返す。
「その13号とかいう電波ちゃんだよ。それで終わりってわけじゃないんだろ」
もちろんさ、と言って僕は空を見上げた。
雲ひとつない晴天。
心配されていた台風は影も形も消えていた。
九州に上陸していた13号は、その後、ありえない角度に曲がり、四国に上陸した。
13号は、僕の願いを聞いてくれた。

※
「愛の告白？」
13号は、出会って初めてきょとんとした顔をした。笑った顔も美人だが、この顔も中々可愛かった。
「え、宮島で誰か運命の人的なものと待ち合わせでもしてるの？　それとも比喩表現？」
「いえ、言葉の通り愛の告白です。相手は同じクラブの同級生です」
一瞬、13号は硬直した。
その後顔はみるみる赤くなり、目は大きく開かれた。
「ちょっとまってちょっとまってちょっとまって。貴方それ本当？貴方ってそういう人なの？」
「何か問題があるんですか？青春としても普通だと思いますが」
いや、だって……と13号は続ける。
「貴方の所属しているクラブって、男子剣道部じゃない」

※
「とまあこういうわけでね。最初は驚いてた13号さんも、途中からは元気にアドバイスをくれたりしてね、円満に分かれることができた」
まあ台風だって女の子だ。こういう話は好きなんだろう。
「ちょっと待て。まさかお前の好きな人って……やめろ！ 触るな！ 俺はノンケだ！」
「僕もなれない合宿係で疲れてるんだ。癒してくれよ。あいらぶゆーだぜ、大吾。さあ、一線を越えよう」
「はーなーせー！」

※
その頃、四国を観光していた立命PENクラブは台風13号の直撃をくらい、全滅した。

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		<dc:date>2016-09-19T14:35:38+09:00</dc:date>
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		<title>琵琶湖消滅計画</title>

		<description>琵琶湖消滅計画
蓮華と蛍


「神社は…</description>
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			<![CDATA[ 琵琶湖消滅計画
蓮華と蛍


「神社は参る人がいれば神様はいるけど、お寺はお坊さんが居ないと意味がないんだ。教えを説く人の居ないお寺は、ただの古びた庵だ。」


お僧の訃報が耳に届いたのは、夏の始頃であった。

「最近外に顔出してなかったらしくてさ。心配したキンが見に行ったら、眠るように御陀仏していたんだと。」

友人からそう聞かされた時、その事実がどれほどの意味を持つのか、正直図りかねていた。歳を考えればおかしくはなかったし、何より友人のあっさりした言葉からは、死の温度を感じ取ることができなかった。実感が沸かないとでもいうのだろう。ともかく、電話越しからの通告を、その時はいと普通に受け止めていた。

「それでさ、もう直ぐキンからも連絡くると思うんだけど、今度お僧の葬儀が寺であるから、お前も来るかなーってさ。」

葬儀？

「もちろん来るよ。ちょうど夏休みだしな。」

「夏休みじゃなかったら来なかったのか？」

「そ、そんな事はないよ。お僧にはいろいろ世話になったし、あたしがそんな薄情者に見えるか？」

「どうだか。」

どうだか。友人は私が今ひとつ現実を理解できて居ない様子を看過していたのだろうか。

「そういうあんたはどうなんだ？」

「まあいろいろ受付とかやるしな。キンに頼まれたんだ。」

「キンに頼まれなければ、来なかったのかい？」

「お前と一緒にするな。」

電話を終えても、お僧が死んだとは思えなかった。或は、死んだことの重みを理解していなかった。そんな人間を、私は薄情者と称した。けれど薄情者ですら、罪はまだ私より軽いはずだ。


その人は村で唯一のお寺にたった一人暮らしていた。もともと村の人間ではないそうで、誰も本当の名前は知らない。ただ、村のみんながその人をお僧さんと言って慕っていたし、慕われるに値するほどお僧さんはいい人だった。

村は、日本にある殆どの村と呼ばれる共同体と同じ様に、自然に囲まれたのどかな田舎であった……と言えば桃源郷のような聞こえだが、要するに山奥の過疎地域であった。交通の便も悪く、町からも遠い。おおよそいるのは土地に縛られた農家であり、その半分は年寄りである。子供なんて指折り数えるほどしかなく、私が高校生になり街に出る時には、村には子供が5人しか残っていなかった。そして来春、一番年下だったキンの卒業をもって村の学校は閉校が決まっている。それはもはや、限界集落の死亡宣告に等しく、それを食い止められる者も、食い止めようとする者も、村には誰一人いなかった。


幾時ぶりの故郷は、全くと言っていいほど変化がなかった。昔と同じように川が流れ、昔と同じように木々が茂り、昔と同じように虫が鳴いた。

「よう、あや姉。久しぶりだな。」

連絡を寄こした友人、キノも
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		<title>Libroとは</title>

		<description>春、夏、冬の年三回、部員から作品を募り…</description>
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			<![CDATA[ 春、夏、冬の年三回、部員から作品を募り、発行している無料の季刊誌です。 

最新号「<a href="https://ritspen.web.wox.cc/novel3/cate5-1.html">Libro vol.56</a>」、現在は最新刊vol.63を配布中！


立命館大学、清心館、存心館、以学館のロビーやラウンジで配布しています。 
また、PENクラブのボックスにも余分とバックナンバーを置いていますので、読みたい方はご一報あれ！ 

PENクラブ部員の手によって生み出された有象無象の作品群が掲載されています。
実験的だったり挑戦的だったりする試みをやっても許される、そんな自由な雰囲気があります。
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		<title>炬火とは</title>

		<description>年に一度、毎年秋に発行している有料の季…</description>
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			<![CDATA[ 年に一度、毎年秋に発行している有料の季刊誌です。（一冊100円）
学園祭や講演会、果ては翌年の新歓なんかで購入することができます。

最新号 <a href="https://ritspen.web.wox.cc/novel3/cate6-1.html">「炬火５４」</a>

夏休みを駆使して炬火のために書かれた質の高い作品を合評し、
投票によって選ばれた作品のみが掲載されます。 

普段はのほほんとしたPENクラブですが、この時ばかりは白熱した話し合いが見られます。


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		<link>https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry5.html</link>
		
				
		<title>個人連載その壱</title>

		<description>工事中………？

みかんアナザー

みかん…</description>
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			<![CDATA[ 工事中………<a href="https://kirin-s.web.wox.cc/">？</a>

<a href="https://drive.google.com/file/d/0B5YyajxGrLV7RFFZV1ZJQk1OX0k/view?usp=sharing">みかんアナザー</a>

<a href="https://drive.google.com/file/d/0B5YyajxGrLV7b1VTWm5zS2YxNFk/view?usp=sharing">みかん</a>じゃぞい ]]>
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		<title>即興小説大会</title>

		<description>★即興小説大会とは?
　制限時間15分、複…</description>
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			<![CDATA[ ★即興小説大会とは?
　制限時間15分、複数人で集まり、指定されたテーマを使って即興で小説を書きます。そして参加者の中から大賞を決めます。
　１週間に１回、または２週間に１回開催予定。


<span style="font-size:large;color:#FF9966;">即興小説大会　大賞作品</span>

第一回　<a href="https://sokkyou.pages.wox.cc/">『梅雨、魚、死刑』</a>　作者：北上さくら
第二回　<a href="https://sokkyou.pages.wox.cc/nakasima.html">『神隠し、反面教師、山奥』</a>　作者：中島九平
第三回　<a href="https://sokkyou.pages.wox.cc/sokkyou3.html">『DVD、すみっコ、劇団ひとり』</a>　作者：中島九平 ]]>
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	<item rdf:about="https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry3.html">
		<link>https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry3.html</link>
		
				
		<title>北上さくら</title>

		<description>○作者紹介

マ可不シギ</description>
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			<![CDATA[ ○作者紹介

<a href="https://ksakura.novel.wox.cc/">マ可不シギ</a> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2014-04-22T11:15:51+09:00</dc:date>
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	</item>
	<item rdf:about="https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry2.html">
		<link>https://ritspen.web.wox.cc/novel3/entry2.html</link>
		
				
		<title>『(笑)作詩自選集』　笑い男</title>

		<description>手紙


泣きながら手紙を書いている
…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 手紙


泣きながら手紙を書いている
端に海の絵を添えて描く

筆をもつ手が細かく震える
こんな言葉を書きたいんじゃないとでもいうように
遠い記憶が浮かんでくる
君もあの人も笑っていた

涙が波となり打ち寄せる海は
今も世界のどこかで広がって
悲しい人々は船の上で
空を渡る海鳥の鳴き声を聞く

この手紙を、届けよう
この悲しみの海原へ流してしまおう
君に届くのはいつになるだろう
その時はなんでもいいから返事が欲しい





深夜の救難信号


『ハローハロー、調子はいかが
私は相当に酷いわ
この文章を見ているあなた、あなたのことよ
届いているんでしょう？今すぐ私を助けに来て
私のいる場所はこの裏に書いておくわ』

そう書いてあった
不意に空を仰ぐと
星空を背に夜をつっきる
飛行機の尾灯が点滅していた

僕はここではないどこかに行きたい





Where I am


人はいません
どこにもいません

僕しかいません
歩いている人なんていません
座っている人だっていません
地球に人間は僕だけです
生まれたときからそうでした

何もしなくても
欲は満たせるようだと
最近知りました
この世は至上に素晴らしい

というのも
僕のことを見ている人がいないので
好き勝手して、なにも気にすることもない
きっと人間が空を飛べるような形をしてたら
僕のようだったろう

死ぬのはまだ先になりそうです
でも生きていてもどうってことはないです
僕が死んだら、とうとう誰もいなくなってしまう
今日も僕は歩いています





本当のこと


本当のこと、言うまいと思い
言えなくなり
色眼鏡かけ、本当らしいこと
もっともらしく見え
前にもこんな思いしたりと思えど
本当のこと
なんだか分らなくなり





錯乱が色彩をもたらして一層がやがやした世界


人びとは無表情におしよせ踏みつけにしながら
ある場所へ向かっていく。数はどんどん増えていく
傍流でなんとかやろうと思ったが悲しいかな
実は僕は錯乱してしまった。彼らと同じく

詩が現実に負けてしまったので
時の進行はとまった＆言葉は平面的になってしまった
これより僕は眠ろうと思う
深海を移動しながら眠っている魚になろうと思う

まだ人間が今の姿になる前の姿だ
僕は失われた子供時代を夢見る
記憶の断片が鮮烈なしぶきのごとく浮かんでくる
魚は歴史全てを見てきたからな

時間だとみんなが言う
朝のリレーが回ってきたのだ
僕は起こされる。今日も工場に出なくちゃね
歯車を作り出荷する。嗚呼然しこれは錯乱しているよね？

僕は白昼夢をデジャビュする
陽炎の中で古代遺跡にいた
ミューズが恋しく渡されない
瞬きすらしない石は何も答えることのない

歯車はあまり円滑に回るので今となっては
始めからこうだったか知らんと思います
いや嘘、本当はあなたがそう思っているなら
本当のところなんてどうだっていいのです

人びとはこれから夕暮れの静脈に行進していくのか
僕は川の傍で煙草を吸うのが好きだったが
そして脈々と続いてきた詩を夢見るのが好きだったが
あなたが現れたので、じゃあそろそろ僕も行進に加わるのです





独力独楽


グルグルと廻っている
おれの心臓を軸にして同じところを延々とめぐっている
おれの心臓は雪をも融かす

深いところに何やら「さわる」ものがある
そいつが身体中にさわるので
俺は馬鹿みたいに自動機械(オートマタ)
病める病めるのはこの心臓だ

忘我の涙も浮かびはするが
こんなに悲しく苦しいのだが
怒りの燃料が注ぎ足され
遅くとも廻転は止まることはない

それでもだ
おれは一人で昇っていくだろう
血管を廻り続ける身体は置いていく
おれはらせんを描いてどんどん昇っていくぞ
日なかは寒く
かわいた天に向かって
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