手紙
泣きながら手紙を書いている
端に海の絵を添えて描く
筆をもつ手が細かく震える
こんな言葉を書きたいんじゃないとでもいうように
遠い記憶が浮かんでくる
君もあの人も笑っていた
涙が波となり打ち寄せる海は
今も世界のどこかで広がって
悲しい人々は船の上で
空を渡る海鳥の鳴き声を聞く
この手紙を、届けよう
この悲しみの海原へ流してしまおう
君に届くのはいつになるだろう
その時はなんでもいいから返事が欲しい
深夜の救難信号
『ハローハロー、調子はいかが
私は相当に酷いわ
この文章を見ているあなた、あなたのことよ
届いているんでしょう?今すぐ私を助けに来て
私のいる場所はこの裏に書いておくわ』
そう書いてあった
不意に空を仰ぐと
星空を背に夜をつっきる
飛行機の尾灯が点滅していた
僕はここではないどこかに行きたい
Where I am
人はいません
どこにもいません
僕しかいません
歩いている人なんていません
座っている人だっていません
地球に人間は僕だけです
生まれたときからそうでした
何もしなくても
欲は満たせるようだと
最近知りました
この世は至上に素晴らしい
というのも
僕のことを見ている人がいないので
好き勝手して、なにも気にすることもない
きっと人間が空を飛べるような形をしてたら
僕のようだったろう
死ぬのはまだ先になりそうです
でも生きていてもどうってことはないです
僕が死んだら、とうとう誰もいなくなってしまう
今日も僕は歩いています
本当のこと
本当のこと、言うまいと思い
言えなくなり
色眼鏡かけ、本当らしいこと
もっともらしく見え
前にもこんな思いしたりと思えど
本当のこと
なんだか分らなくなり
錯乱が色彩をもたらして一層がやがやした世界
人びとは無表情におしよせ踏みつけにしながら
ある場所へ向かっていく。数はどんどん増えていく
傍流でなんとかやろうと思ったが悲しいかな
実は僕は錯乱してしまった。彼らと同じく
詩が現実に負けてしまったので
時の進行はとまった&言葉は平面的になってしまった
これより僕は眠ろうと思う
深海を移動しながら眠っている魚になろうと思う
まだ人間が今の姿になる前の姿だ
僕は失われた子供時代を夢見る
記憶の断片が鮮烈なしぶきのごとく浮かんでくる
魚は歴史全てを見てきたからな
時間だとみんなが言う
朝のリレーが回ってきたのだ
僕は起こされる。今日も工場に出なくちゃね
歯車を作り出荷する。嗚呼然しこれは錯乱しているよね?
僕は白昼夢をデジャビュする
陽炎の中で古代遺跡にいた
ミューズが恋しく渡されない
瞬きすらしない石は何も答えることのない
歯車はあまり円滑に回るので今となっては
始めからこうだったか知らんと思います
いや嘘、本当はあなたがそう思っているなら
本当のところなんてどうだっていいのです
人びとはこれから夕暮れの静脈に行進していくのか
僕は川の傍で煙草を吸うのが好きだったが
そして脈々と続いてきた詩を夢見るのが好きだったが
あなたが現れたので、じゃあそろそろ僕も行進に加わるのです
独力独楽
グルグルと廻っている
おれの心臓を軸にして同じところを延々とめぐっている
おれの心臓は雪をも融かす
深いところに何やら「さわる」ものがある
そいつが身体中にさわるので
俺は馬鹿みたいに自動機械(オートマタ)
病める病めるのはこの心臓だ
忘我の涙も浮かびはするが
こんなに悲しく苦しいのだが
怒りの燃料が注ぎ足され
遅くとも廻転は止まることはない
それでもだ
おれは一人で昇っていくだろう
血管を廻り続ける身体は置いていく
おれはらせんを描いてどんどん昇っていくぞ
日なかは寒く
かわいた天に向かって
泣きながら手紙を書いている
端に海の絵を添えて描く
筆をもつ手が細かく震える
こんな言葉を書きたいんじゃないとでもいうように
遠い記憶が浮かんでくる
君もあの人も笑っていた
涙が波となり打ち寄せる海は
今も世界のどこかで広がって
悲しい人々は船の上で
空を渡る海鳥の鳴き声を聞く
この手紙を、届けよう
この悲しみの海原へ流してしまおう
君に届くのはいつになるだろう
その時はなんでもいいから返事が欲しい
深夜の救難信号
『ハローハロー、調子はいかが
私は相当に酷いわ
この文章を見ているあなた、あなたのことよ
届いているんでしょう?今すぐ私を助けに来て
私のいる場所はこの裏に書いておくわ』
そう書いてあった
不意に空を仰ぐと
星空を背に夜をつっきる
飛行機の尾灯が点滅していた
僕はここではないどこかに行きたい
Where I am
人はいません
どこにもいません
僕しかいません
歩いている人なんていません
座っている人だっていません
地球に人間は僕だけです
生まれたときからそうでした
何もしなくても
欲は満たせるようだと
最近知りました
この世は至上に素晴らしい
というのも
僕のことを見ている人がいないので
好き勝手して、なにも気にすることもない
きっと人間が空を飛べるような形をしてたら
僕のようだったろう
死ぬのはまだ先になりそうです
でも生きていてもどうってことはないです
僕が死んだら、とうとう誰もいなくなってしまう
今日も僕は歩いています
本当のこと
本当のこと、言うまいと思い
言えなくなり
色眼鏡かけ、本当らしいこと
もっともらしく見え
前にもこんな思いしたりと思えど
本当のこと
なんだか分らなくなり
錯乱が色彩をもたらして一層がやがやした世界
人びとは無表情におしよせ踏みつけにしながら
ある場所へ向かっていく。数はどんどん増えていく
傍流でなんとかやろうと思ったが悲しいかな
実は僕は錯乱してしまった。彼らと同じく
詩が現実に負けてしまったので
時の進行はとまった&言葉は平面的になってしまった
これより僕は眠ろうと思う
深海を移動しながら眠っている魚になろうと思う
まだ人間が今の姿になる前の姿だ
僕は失われた子供時代を夢見る
記憶の断片が鮮烈なしぶきのごとく浮かんでくる
魚は歴史全てを見てきたからな
時間だとみんなが言う
朝のリレーが回ってきたのだ
僕は起こされる。今日も工場に出なくちゃね
歯車を作り出荷する。嗚呼然しこれは錯乱しているよね?
僕は白昼夢をデジャビュする
陽炎の中で古代遺跡にいた
ミューズが恋しく渡されない
瞬きすらしない石は何も答えることのない
歯車はあまり円滑に回るので今となっては
始めからこうだったか知らんと思います
いや嘘、本当はあなたがそう思っているなら
本当のところなんてどうだっていいのです
人びとはこれから夕暮れの静脈に行進していくのか
僕は川の傍で煙草を吸うのが好きだったが
そして脈々と続いてきた詩を夢見るのが好きだったが
あなたが現れたので、じゃあそろそろ僕も行進に加わるのです
独力独楽
グルグルと廻っている
おれの心臓を軸にして同じところを延々とめぐっている
おれの心臓は雪をも融かす
深いところに何やら「さわる」ものがある
そいつが身体中にさわるので
俺は馬鹿みたいに自動機械(オートマタ)
病める病めるのはこの心臓だ
忘我の涙も浮かびはするが
こんなに悲しく苦しいのだが
怒りの燃料が注ぎ足され
遅くとも廻転は止まることはない
それでもだ
おれは一人で昇っていくだろう
血管を廻り続ける身体は置いていく
おれはらせんを描いてどんどん昇っていくぞ
日なかは寒く
かわいた天に向かって
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